『ひめゆり』『レッド』

ひめゆり (2006)



★★★★★ [100点]「おばぁ、柴田昌平監督、ありがとう。」

 先日「激動の昭和史 沖縄決戦」(岡本喜八監督、1971年)を観、「9条改憲を許さない!6.14フェスタ」で沖縄戦に関する1人芝居を拝見していた。そしてこの「ひめゆり」は学徒隊生存者22名が語るドキュメンタリーである。監督は13年間にわたり、たしか120時間に及ぶ証言を記録したとおっしゃっていた。

 私はこのような映画を観ると、「時代の犠牲者」に対する涙が止まらなくなってしまう。そして彼女たちは、極限状態においても他を思いやろうとしたりするのだ。記憶を抹消しようとするたぶん生命としての本能、仲間たちへの謝罪の念を抱えつつも、使命感をもって、そして自らも浄化されて語るおばぁたちの姿。パンフレットには、「怒りをそのまま返すなよ。じっと我慢しなさい。怒りは神様が返してくれる」という先輩の言葉、「何らかの形でお互いに交流しあってお友達になって、戦争がしにくい状態、そして戦争をしない国にしなければと思います。」「社会のことは、一人ひとりに責任があります。政治のせいにしたり、他人のせいにするのは間違いです。」「70余年たつと、親たちも死に、戦争を体験した人たちも亡くなり、指導者たちが戦争を美化しようとします。」「過去の歴史を知ることが現実を知ることになり、未来への展望が開けると思うのです。」「(ひめゆりばかり取り上げられることに対する)やっかみのような雰囲気があったので、黙っていた。」などのメッセージや言葉がこめられています。

 物腰柔らかな監督が最後の上映後に挨拶され、サインをもらって「頭と胸がいっぱいで言葉になりません」と伝えたら「言葉にしなくていい」とおっしゃってくださいました。そして、握手をしていただきました。

 また来年も上映があるかもしれないそうです。そしてこれを観た1人ひとりがこの作品を伝え、広げ、戦争を肯定すべき理由なんてなんにもないということを心に刻みつけ、できることをする勇気をもつ。それによって平和の輪がつながっていくことを私も心よりお祈り申し上げます。


Posted by lotus.eater on 2008/06/28 with 映画生活


 実際に体験していない私たちでも、おばぁたちのお話を聞くことで、想像力が喚起され、少しでも体験者に近づくことができる。それが人間であると信じたい。そしてあたしは最近とみに、本当にようやく、歴史がつながっていることを深く深く実感しているのです。


 その後、居酒屋に入って食べ物を口に運ぶうちにどうにかリアル世界に帰ってきた。


 帰宅後、『レッド 1』 (1) (KCデラックス) 山本 直樹 読んで「今読ミ」に感想アップしたのですが、エラーになってしまったので、また後日。


 明日は写美にて心の師匠、森山大道展(私は森山小道とかゆってるので。星野道夫中平卓馬の近年の作品などはより愛しています)の後、下北沢トリウッドで「We 命尽きるまで」。先日出た会合の歴史と本質について学んでまいります。