『なめくじ艦隊―志ん生半生記』古今亭志ん生

なめくじ艦隊―志ん生半生記 (ちくま文庫)

なめくじ艦隊―志ん生半生記 (ちくま文庫)

 『なめくじ艦隊―志ん生半生記』古今亭志ん生、こちらもちくま文庫万歳!! BOOK-OFFにて400円。2回売りに行った分はこれでちゃらか。memoドンタク=休日。→「半ドン」。金を拾ってうれしかったはなしを聞いて小判を投げたら消え、やっと隅の方で見つかって有難え!の噺。「『(略)金はとらねえ、財産もねえ、着るものもねえ、ねえねえづくしで、酒はのむ、バクチはする、あそびも好きと三拍子そろっている。それが承知ならいいが、そんな物好きな女ってねえでしょう……』(改行)すると間もなくその人がやって来て、承知だという。」「『どうにもしやがれ。爆弾が落ちて死にでもしたら、これがもったいない。あるだけ飲んじまわないと死んでも死にきれねえ』(改行)てんで、みんな飲んじまって、そのまま寝てしまったんですよ。(略)そんなはげしい大空襲の下でのんだ時のビールの味なんてものは、忘れられるもんじゃありませんナ。」たまった家賃の半分を払うからと羽織と袴を大家に借りたが、謝礼すべて飲んでしまい、さらにわけがわからなくなるほど飲みすぎて、羽織と袴を質に入れてしまった。「『虫の好かん奴』というのがいる、腹の虫がきらうんですね。(中略)『腹の虫がおさまらねえ』とよくいうが、よっぽど虫が怒っているんですよ。その中でわれわれみたいなアマノジャクの虫は、もうしまつに困るんですけどね。」「あたしは思ってることをありったけしゃべっちまう、ものをかくせない性分ですよ。」飲ませたくて仕方がない男がどこまでも追っかけてくる話。剛情どうし。「あたしは、芸名を十六ぺんもかえました。(略)それがすべて、襲名したんじゃなくて、名前をかえちまわないと借金とりがやってきてしようがないということもあったし、(後略)」「林家正蔵じいさんみたいに、百歳になっても、女のところへ這っていく位の元気がなくちゃダメですよ。」「そのぶっきらぼうなことばの中にこもっているあたたかい親しみぶかい気持が、あたしの心をスーッとほぐしてくれたんです。」「自分で楽しむんならおあしを出さなければならない。商売は楽しいもんじゃないんですよ。(色川武大がギャンブルについて同じやうにゆってたな)」ビラをまいて、「三つ笑って楽しむべく候」落語のはじまり。『ああ、この円喬てえ野郎がいるために、おれはこんなつらい目をみるんだ。アンチキショウ! にくい野郎だ!(ファンの言葉)』円朝・小さん・桂文吾・京マチ子ダニー・ケイ、ベティー・ハットン、土門拳。呑み助で、ずぼらで、。極限の満州からようやく帰るときに家族に打った電報「○○○ヒカエル、サケタノム」で大目玉! いたずらで直され、ひどい目に。。お弟子さんの聞き書き。まあ、こうゆう方々を好ましいと感じる次第です(偏向の自覚はアリ)。来年こそは寄席へ!! 上記のような方々を好むわたくしめが次に読むべき1冊をご指南くだされ。田中小実昌かとは考えているのですが。。如何。キーワードは人間の味わい深いこと、です。たぶん。