右目が

痛くてコンタクトがはめられない。右鼻がたえまなく流れてタオルが手放せない。右親不知の周囲の齦が腫れて舌でなだめざるをえない。右肩が痛くてもう今夜は仕事を中断せざるをえない。


きみの眼はちひさないばらにひつかかつてかはく
きみの眼は太陽とそのひかりを拒否しつづける
きみの眼はけつして眠らない
ユウジン これはわたしの火の秋の物語である


吉本隆明
『転位のための十篇』より「火の秋の物語 あるユウラシヤ人に」から
ラストなので、前は調べてくださいね。ここに目を通してくださったすべての方に、この前の部分のすべてを。