映画『今夜は踊ろう』荒木一郎の魅力@ラピュタ阿佐ヶ谷

荒木一郎(ラピュタサイトより)

映画『今夜は踊ろう』荒木一郎の魅力@ラピュタ阿佐ヶ谷
「ある時は、「ネチョネチョ生きること」のモラルを軽妙に語るチンピラ、ある時は、ヘラヘラと笑いながらナイフで瞬時に相手の息を止める殺し屋、また、ある時は優しい愛撫で女たちを骨抜きにする色事師――。
騒乱の六〇年代から白々しい倦怠感と苛立ちに包まれた七〇年代にかけて、スクリーン上で最も時代の気分を掬い取り、切ないまでの繊細さで表現してみせたのは荒木一郎だけだった。最もアヴァンギャルドだった時期の大島渚が「一番好きなタイプの俳優」と絶賛した伝説の天才、荒木一郎へのささやかなオマージュ。」というチラシの名文句に、あたしが好きに決まってる!とシリーズすべて観ようと思っていたら、「893愚連隊」と「白い指の戯れ」を痛恨の見逃し。
 それまで阿佐ヶ谷駅ルノアールで仕事して(ここはおでかけアクセス+電源コード+携帯充電までできちゃいます!比較的空いてるし、なかの工房阿佐ヶ谷駅前支店に決定!)、日本初の例の喫茶店に入ると、近くで商談。聞くともなく聞く。ここの店長らしき方(年配)「とにかくダメなところは全部言ってください!それがすべて改善点なのだから」と若めの方に言ってる。ルノアールでも行政関係者らしき方々が大勢集まり、どうやら地域をよくしていこうと熱く語り合っていた。景気回復に伴い、夢を抱いて進むときにきているのだろうか我が日本、否、少なくとも、我らが杉並もしくは阿佐ヶ谷界隈。
 とにもかくにも「銀幕の東京」シリーズを観るなら荒木一郎だろうと仕事で時間をつぶし続けた(なんとなくクリスタルに贅沢)。
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今夜は踊ろう

1967年/大映東京/カラー/80分 ※16mm

■監督:弓削太郎/脚本:笠原良三/撮影:中川芳久/美術:山口煕/音楽:服部克久
■出演:田宮二郎、梓英子、清水将夫平井岐代子、夏圭子、渚まゆみ

夜のネオン街を舞台に、プレイボーイの田宮二郎と懇ろになったバンド狂いの学生・荒木が、家出娘と恋に落ちる――。歌謡メロドラマの体裁を活用しながら、『紅の渚』『ギリシャの唄』など全篇、荒木の才気溢れる異色のナンバーが聴けるのも魅力だ。
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てなわけで、荒木一郎を知らず、直前チラシでの予習も間に合わず、観始めたあたし。実は田宮二郎も知らず、あたしは田宮二郎荒木一郎かと最初思い込んだ(一郎とか二郎とかなんやねん)。で、主人公はニヒルだけど情感豊かな表情も役どころもおいしいなぁ、でも、この地味な学生役の彼は、なかなかいい味だと思っていたら、その地味な兄ちゃんが唄い出し、よもやこっちが荒木一郎〜〜〜!!!というほどではないが、軽〜いジャブ的衝撃を受ける。
 彼はギターを手に3〜4曲くらいフルコーラス歌い上げていた。奇妙だが惹きつけられる歌だ。嗚呼、これか、と思った。やはり毎週通わねばなるまい。