『ポケットの穴 -男性自身シリーズ-』山口瞳
ついでに覚え書きをまとめたい読了本の山が右手に常に見えて増えるいっぽうなので
地道にアップ。
【叔母の決心】より
「髪の毛をつかまれて地面をひきずりまわされているときに黙って青空を見ているということに女を感ずる。」
「女が、ある男と結婚しようと決意することは、たとえそれが恋愛結婚という形であっても、
“愛している”のではなくて“撲たれよう”と思いきることではあるまいか。すくなくとも、
愛しているという気持ちよりは“ドウデモイイヤ”という心持のほうが強いだろうと思う。それから
女が男にカラダを委せるというときには、愛よりも、やっぱり“勝手ニシヤガレ”という気持のほうが強い
のだろうと思う。女は、相手のことよりも青空のほうを憶えている。」
【いたずら】より
「これは山本嘉次郎さんにうかがった話であるが、昔、東宝撮影所の便所のなかには『紙が無いときには、事務室まで
おいでください』と書いてあった。この読点のところへ『そのままの姿勢で』と書きいれた人がいた。
しばらく経ってから末尾に『拭いてあげます』と書き足した人がいたそうだ。」
【ヌード】より
「(前略)裸になる女優さんの足の裏が汚れていたり、脇の下に変な皺が寄っていたりするのを見ると、私は
感動します。胸を打たれます。これをどう説明してよいのかわかりません。」
【逃げる】より
同僚の弁当箱の中身がサツマイモであるのを見て、いろいろ事情を知っているからこそ、それを平らげて川柳の
ようなものを入れてジョークにしようとした(が、凄い勢いで怒られた)。から、やりきれない。
【酒飲みの休日】より
「休日に酒飲みの家へ遊びに行くと、なんとなくあたりの空気がやわらかい。」
【猿蟹合戦】より
「『きみンところへ遊びに来ると、安心して昼寝ができるんだよ。それだけで充分だよ。』」
【私の小学校】より
高見順の従軍報告演説会と『わが胸の底のここには』、歌「宵待草」「恋はやさし」「ベアトリ姉ちゃん」
「コロッケの唄」「ブン大将」「み寺の壁には」「コルネビーユ」などの浅草オペラ
疲れたので、ひとやすみ。つづく。。