うさぎの命は かげろうのごと 頭を擡げ 虚ろな瞳
部下をもつたび職転々 女に言い寄られても 「面倒臭い」の弟よ
酔っては地面や自転車に話しかける自分をふと自覚する
義理の親父は今 「その他雑酒」以外のすべての酒を我慢して
「テレビを観ているよりも かあちゃん見てるほうが面白いよ」と
「ちゃ」にアクセントを置いて 吾に云う
その母はといえば 動物園の四つ足共に話しかけ
「鳥の言葉はわからない」などと口にするのだ


炎天下


夕刻に腹ごなし タイミングのよい再会
数多ある選択肢のなかから選んだ
「海へ」


海臨特等席に座りこむ
音楽で何を呼んでほしいのかと尋ねたら
「西陽を呼び戻してほしい」


「砂が飛んできた」
といったら
「さっき寝っ転がってたじゃん」


再び仰向けに寝転び 星空を眺めながら
星座の知識を訂正され
ジャンベとリコーダーとウクレレ
祈り
花火を楽しむ子どもを踊らせるのだ
「暴れすぎるから
 すぐに花火が終わっちゃうんだよ」


膝上まで海水に浸かって 水を蹴る
きらきら輝く 夜光虫


旅と本と狂気の話をして
僕らの好きな音楽をして
次の再会までの約束をお願いするんだ