「ぐるりのこと。」と『自殺ドミノ』で命を潤すものについて考える

 1日の火曜日には築地で打ち合わせがあった。理想と現実の折り合いをつけながら、理想を現実のなかで実現させるために、アイディアを凝らす必要がある。楽しみながらね。


 

ぐるりのこと。 (2008)

【監督】橋口亮輔
【出演】木村多江 / リリー・フランキー / 倍賞美津子 / 寺島進 / 安藤玉恵 / 八嶋智人 / 寺田農 / 柄本明


★★★★ [80点]「どこかで誰かに、伝えなければ。」

 1日は映画の日であるということに銀座で気づき、比較的好きなシネスイッチへ。上映開始5分経過のタイミングで鑑賞。

 ときにアドリブかとも感じるみなさんのナチュラルな演技と、随所に差し挟まれるユーモアにほっこり。なかでもやはり木村多江さんとリリー・フランキーさんとの夫婦関係のなかの下ネタは、さまざまな人がどこかの誰かとの関係を想起するのではないかと思われる。

 たしか橋口亮輔監督自身の鬱体験をもとにしているとTV番組で観たような気がするのだが、個人的には夫にも妻にも感情移入しながら観た。妻の側の、忍耐の蓄積が爆発してあふれ出す様子、その苦しさ。いっぽう夫の側の、とまどい突然自分の生き方やスタンスを変えることはできないながらも妻をひたすらやわらかく受けとめつづける様子、そのせつなさ。とにかくリリーさんのかもしだすこの雰囲気にはヤラレてしまいますよそりゃあ。

 とにかく感じたのは、感情や思いや考えをどこかで誰かに、できれば大切な人に、伝えなければいけない。そして、伝えられた際には、全力をもって受けとめなければならない。それが苦手だからこそ、そんなことが私のなかに残った。


Posted by lotus.eater on 2008/07/03 with 映画生活


自殺ドミノ――自殺事件に巻き込まれた人々の恐るべき証言 (晋遊舎ブラック新書9) (晋遊舎 読了。個人的な感想はこちら