Swan of Avon 〜それでもWHAT A WONDERFUL WORLD〜

 完全な地元民としての初参加となる高円寺阿波踊りがメタモ優先でかなわないので(それはそれで本望がかなっているわけであるが)、テレビ番組で徳島阿波踊りを観ていた。人気の人や連があり、本当にすばらしい。心の底からあおられる。特に、阿呆連。
 また、ワールドビジネスサテライトで、暗闇(ビジネス)が取り上げられており、先日五感についても書きながら考えていた「視覚偏向の時代」とのバランスについて考えた。視覚からの情報や感動というのは本当に大きなものなのだけれどね。あたしは写真を見ながら、そこに空気感や記憶を重ねる。そして、視覚情報から広がるイメージ、世界を重視したいと思う。目が気持ちいい、てのもあるけど。
 あと、最近の番組で印象的だった2つは、桂歌丸師匠が置屋「富士楼」に育ったこと、横尾忠則三島由紀夫に「なぜ劇中で本当に死ななかったのか」と思いついたことを口にすると三島は「なんでそんなことがわかったんだ」と答えたという話。テレビも役に立つなぁあんまり好きじゃなかったけど。メジャーじゃないチャンネルや番組はなかなか興味深いということか。


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幻想の国 魔法の呪文
手元に残された暗号文


それを僕なりに解読したから
君のもつ正解を教えてほしい


そして 再び 河の畔で
Swan of Avon が得意とするような
美しい悲劇を僕に見せてくれ


海流のなかの島々(下) (新潮文庫)

海流のなかの島々(下) (新潮文庫)

海流のなかの島々(下)』ヘミングウェイ、高円寺の広いカフェ、Planet3rdにて、トロピカルなワッフル・サンデーをおともに、ようやく読了。噂通り、下巻はなかなか進まなかった。
「キリストよ、愛しの人を我が腕に、我を臥所に戻したまえ(16c作者不詳の英詩より)」「貴様が本当に描きたいという意志、今はそれに賢明にすがれ。それには命に必死にすがりつくことだ。しかし男の仕事に比べれば、命など安いものさ。厄介なのはただ一つ、命は無けりゃ困るということだ。しっかり抱いて離すな、命を。」「『あんたって人は、自分に惚れてくれる人間のことは、何一つ分りゃしねえ人だよ。』」
解説よりメモ
陸海空の三部作構想
パーソナルな書き込み、「イマジナティヴ・フィクション」
セザンヌが描くように書きたかった(絵画に対する関心、文体の絵画性)
「詩的真実」
 そして彼は猟銃自殺するわけだが。ちなみに、太宰治人間失格』が表紙イラストの影響で売れているという話題から、さまざまな方々の感想を読んでいて、なかなかに、あたしにしっくりくるものは1つくらしかみつからなかった。
 愛読書というものが、最も多く読み返した書物をさすのであればあたしにとっての愛読書は『人間失格』であり、若い頃、自分で「人間失格」と思うたびに読み返しては、「彼もあたしも失格じゃない、人間失格の人なんていない」と生きる力みたいなもんを取り戻したもんであった。でも、多くの感想では暗い読後感について書かれていた。
 あとは、これは触れている人もいたが、あたしも思うだに、まともな感性で現実生活を生き抜くのって、けっこう大変だってことである。あたしは死なないし(あ、自分では、ってことですね)誰にも死んでほしくないけど、死への恐れや畏れが消えてしまうほどに死にとらわれてしまうことがあることは理解できる。それは小説などを読んでも、身近の人々を見渡してみても、自分の内なる自分に問うても、である。だからあたしはいくつになっても絶対、こうしたたぐいの小説を、あくまで客観的に読み通す、なんてこたできないのさっ。
 あと、あたしがいつも考えていることは、エロスと対極にあるタナトス(にひかれる心)がある、少なくとも自分や一部の人には。てことだ。難しいことはわからんが、旅に出たいと思って旅に出て、そうすると今度はそのうち家が恋しくなる、そんな感じではないだろうか。ちがうかも。で、旅に出たいと思って計画を立てていたときと、旅から帰っていい旅だったなぁ〜と考える2つのときが旅の醍醐味、みたいな感じで。でも、旅の途中にもいくつか感情や感覚的なピークが訪れたりもして。でも振り返ってみたらすべて美しく輝く思い出の浄化作用、人生浄化。人生は旅だから旅鴉。
 それにつけても、サッチモの『WHAT A WONDERFUL WORLD』の歌詞はすばらしく、しゃがれ声もあまりに美しい。『グッドモーニング・ベトナム』観ようかな。