惚れてます、車谷長吉っつあん。

 打ち合わせの準備を入念にしつつ、洗濯して外出。神保町の某出版社へ。その後、「開店して半世紀、満55歳」らしい、喫茶店ラドリオにて、ユメウツツに打ち合わせ。
 池袋へ。

世界一周恐怖航海記

世界一周恐怖航海記

世界一周恐怖航海記(車谷長吉)発売記念、サイン会、限定100名。明日の打ち合わせのための資料を購入しつつ待つ。ファン層はあまり若者とかはいない感じだったが、思ったよりは(勝手な思い込み)女性ファンもいた。高齢の方も多かった。整理番号順と勘違いしていたお蔭で、弟がファンだというお母さんとしばし交流。思っていたよりも小柄で線の細い感じ。どきどき。ものすごく丁寧ないつものあの文字で、宛名も書いてくださる。写真撮影をお願いしている人もいたが、あたしは握手を頼むので精一杯。というか、握手の方が大切だと思った。あったかい両手に包まれて、何度もお礼を言った。奥さまにも深々と一礼してみた。
 車谷さんへの愛を語り出したら非常に長くなるのではないかと思われますが、この新作を半分ほど読んで確認したのは。
 頭上斜め45度から監視するもうひとりの自分がいて、常に恥多き自分につっこみをいれてくるから。社会も自分も長らく敵だと感じてきて、それでもあがきながらこの世にないものをこの世にあって求めつづけてしまうから。頑固であんまり器用じゃなくて力が入っちゃって、いろんなことになじまないからアレルギー性鼻炎つか蓄膿症つか副鼻腔炎に苦しんでコンプレックスが増える感じで。それもすべては自分に問題があり、そして嫌いな人や嫌いなものがたくさんある(好きな人や好きなものもたくさんあるともいえるかもしれないが)。自覚と無自覚ともちろん両方あるとは思うけどさ。でもあたしは、いつかざまあみろと(何に対して?)いってやろうと思ってはいる。
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「この『むさぼる』という空気が息苦しい。私は『楽しむ』というのが嫌いだ。『楽をする』のが嫌い。『楽』よりは『苦』が好き。と言うより『苦を楽しむ』が好き。」
「焦慮があった。『しがねえな。』と思うていた。」(先日の『サクリファイス』にもつながるテーマですね。途中寝ていてわかりませんが。)
「『何もないことが、わいの安心立命や。』」
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まあ、発売されたばかりなので、このくらいで。みなさまぜひご一読を。感想を語り合いましょう。
 だけどあたしが彼をいちばん好きな理由は、自分に似ている部分を感じるからというよりも、愛が深くて情が深くて感受性が強すぎるところがある、とあたしが感じるからかしらん。これはもう単なる好みですが。こうゆうといつもながらに陳腐ですが。
 団鬼六さん→車谷長吉さん→次は草間弥生さんか美輪明宏さんあたりのサインがほしいところである。このお二人の文章もすばらしいので。では、心が落ち着かないので、続きを読んで寝ます。たぶん、ヤニぎれ、箱の中にあと3本、のために節煙しているせいと思われる。買いに行くのが面倒なのだ。


 でも、自分はぐにゃぐにゃで、この人の足元にもむろん及ばないのです。ここまで自分を切り刻めない。絶対に。逃げ道を100万個用意してしまうのです。これが、自分の甘さであり弱さであり処世術であり、浅ましく生き恥をさらしつづける俗物としての自分を受け入れる、開き直ることもできやしない。そのとき、昨日の写真を思い出す。生きてるだけですばらしい。自分以外に向けるべき視線の答えはあるような気がするが、自分はもてあますばかりだ。自分をどう掘り下げればいいのかがわからない。そんなとき、おとんとおかんを思う。おとんは静かに仕事を多くしながら、部屋で音楽を聴き、ひとり歌舞伎を観に行っていた。幼いうちら兄弟にも、日本画や焼物を見せ、、駄洒落を聞かせた。ピアノの鍵盤に触れ、かき氷を一口、食べた。おかんは数少ない、自分が愛する人や愛するものがすべてといった生き方だ。そうか。ここにはあんまネガティブなことは書かないようにしようと当初は思っていたんだった。こんなことを書いているのもすべて、きっかけは。。なんてな(逃げ道)。