ソフィア・コッポラ&ポール・オースター&吉行淳之介

moons11dec2004-06-13


 『ロスト・いん・トランスレーション』ようやく吉祥寺で観ました。これほどすみずみまでじゅうぶんにりかいできる映画もそうはないだろう。もっと好きな映画はいくらでもあるけど。いちばん思ったのは、こゆ、ふとした出会いの中で、背中を押してもらえる、関係が続こうが続くまいが、その後生きてゆくなかでの勇気を、スバラシイ勇気をもらえることってある。てこと。最後に言ってた台詞は、きっと、2人だけにしかわからないことだと思った。画面に映し出されていない2人の時間があるのだろうと思った。そう思わせる映画なんて、そうはない(映し出されていない時間について想像させるなんて)。

 『ムーン・パレス』柴田元幸さんの訳のスバラシサによるところも大きいと思われる。●そんなふうに愛されることで、すべてはいっぺんに変わってくる、落下の恐ろしさが減るわけではない。でも、その恐ろしさの意味を新しい視点から見ることはできるようになる。僕は崖から飛び降りた。そして、最後の最後の瞬間に、何かの手がすっと伸びて、僕を空中でつかまえてくれた。その何かを、僕はいま、愛と定義する。それだけが唯一、人の落下を止めてくれるのだ。それだけが唯一、引力の法則を無化する力を持っているのだ。●「誰だって優しくしてもらう権利はありますよ」と僕は言った。「誰であろうと」●「うん、その通り。忘れがたい週末。あらゆる週末に、終止符を打つ週末」●「私はあの人をひどく傷つけてしまったのよ。だからあの人が、私の顔を見たくないと思ったとしても無理はないわ。もちろん、私がわざとあの人を傷つけたわけじゃないことはわかってくれている。でもだからといって、あの人が私を許さなくちゃいけないということにはならないのよ」●僕はレンタルのモーターボートを借り、一日じゅう湖上をさまよいながら、これからどうしたものかと思案した。僕にとってはおなじみの問題だが、そのときの敗北感はあまりに大きく、何の考えも浮かんでこなかった。そして、ボートをレンタル小屋に返して、車はどこかとあたりを見回した時点で、突如決定権は僕の手を離れたのだった。

 『男と女の子』彼の作品の中では、きっとかなり純度が高いのだろう。ほかを読んでいないのでわからんが。なんかこの手の設定はこうなってしまうの?現代ならよいのやも?

 みなさんは、どんな映画を観たり、本を読まれたりされてますです? 選んでないのに、テーマがリンクしまくるのは、自分がそれを求めているからなんでせうか?