Hang Drumとイラクと社会運動と東京オリンピックと死刑(まめに更新
ここでも答えているHang Drum(ハング・ドラム)2台を用いたソロ
先日、アジアプレスインターナショナルのビデオ・ジャーナリスト玉本英子さんによる和光大学でのイラク取材の公開講義を聴講。スンニ派武装勢力へのインタビュー、その具体的な背景、自爆の現場など撮影映像を見ながらイラクの現場について聞く。最前線含め8回イラクを訪れていらっしゃるとのこと。彼女はほんのモザイクを見せることしかできず、でもそのなかで感じて考えてもらいたい、特に若い人には戦っているのが本当に一般のふつうの人であることを知ってほしいと強調。質疑応答で批判もあったが、友人ととにかく命がけで貴重な情報を伝えてくださることはただただありがたいと話し合う。また、過酷な状況下で動いていらっしゃる方であるからこそ、生半可な批判には微動だにしないたくましさを心強くも思ったり。だからこそ否定的な方こそ彼女に引きつけられてしまうのだろう。
その後は米タフツ大学教授の「アメリカの平和運動はいまーイラク戦争のなかで」の講義。ベトナム戦争時とのアメリカ国内の平和運動の比較など。やはり、インターネットの普及の影響などの大きさを感じた。
いつも思うのだけれど、本当に玉本さんがおっしゃるように、批判することは簡単なことなのだ。また、何かでも読んだけれど、難しい問題こそ、解決案を単純に提示することなどできない。だからこそ考えつづけ、話し合いつづけ、そのなかでそれぞれが自分の責任と実感して何ができるかなのだと思う。世界の裏側のことも自分と関係がある、自分に責任があると考えていたい。
その翌日には会の通信係の会合。大先輩方の武勇伝や、昭和文化にみる左翼史?などについて興味深く聴く。
ろくでなし (1960) 【監督】吉田喜重 【出演】津川雅彦 / 川津祐介 |
当時新人の吉田喜重監督の青春ドラマ。父親の秘書から金を奪おうとする若者たち。
60年安保の時代に当時の日本映画界に感じていた矛盾を重ねていたのであろうが、社会の状況に対してはあまり現実感をもてなかったという旨のことを監督自身は語っていらっしゃいます。ラストシーンは有名なあの作品を模倣しているんだとか。
個人的には、展開が映画的であるな、と思いました。
煉獄エロイカ(吉田喜重)
は、なかったのでこちらに直接。えと、こちらも革命運動がテーマなのですけれど、それを不毛なものであるとし、そこに戯れるしかないというスタンスなのですね。でもまあ個人的にはそこに共感しきることはできぬわけで、なんとゆうかとりあえず吉田喜重監督シリーズを家で継続しようとしていたのですが、もういいかな、と。すべてはどろどろしたものだと思うから。でも、監督が女性をみる視線は好きです。若松監督のような女性蔑視が含まれる視線も好きですけれど。
東京オリンピック (1965) 【監督】市川崑 |
BSで放送されていたので観た。
これは記録映画の仮面をかぶった明らかなオリジナル作品であるとわたしはおもう。山本晋也監督も解説でおっしゃっていたが、市川崑監督は「人間」を描きたかったのだと。ユニークでバラエティーあふれる表情・行動・しぐさ。。ほんの一部を採用された山本監督も「アップで」「癖などがあればそれを撮って」といわれたとか。また、フィルムは富士山の高さの40倍に及ぶために使用されなかったことで不満を抱いたカメラマンが多くいたという話も。完成した映画は、そのなかからの選りすぐりなのですね。脚本に谷川俊太郎さんの名もあった。
わたしは何十年かぶりにオリンピックのよい面をみたような気がした。選手や監督や外野の言葉がうるさくない、静かなナレーターと効果音と音楽からなる美しい作品。特にあの閉会式において世界がひとつになる絵は確かに、社会に実現させたいと思わされた。でも、もうすぐはじまるオリンピックに多くをきたいできるようにはならないのだけれど。
創 (つくる) 2008年 08月号 雑誌読みました。