青空薬品 そして日活ロマンポルノ再び

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今日は山手線沿いで仕事をしていたので、夜、渋谷シネマヴェーラへ(ややネタバレアリ)。
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『もっとしなやかに もっとしたたかに』
公開:1979年
監督:藤田敏八
主演:奥田英二、高沢順子、森下愛子風間杜夫真木洋子加藤嘉赤座美代子、浜口竜哉、河原崎長一郎、根岸明美蟹江敬三高橋明、島村謙次
24歳の若さで妻には逃げられ、カメラマンになるという自分の夢も捨て、運送業を続ける勇一。ある日家出のフーテン娘・彩子を助けて、家に泊めるも、大事なカメラを盗まれてしまい…。ニューファミリー思考をもちながらも不器用でうまく人間関係の作れない不甲斐無い勇一を奥田英二が見事に演じ、器用で奔放だが孤独を抱える彩子を森下愛子がみずみずしく演じている。70年代の悩める若者の青春群像劇。
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勇一は予想よりもずっと駄目男ではなかった。パパしてるし。でも、煮え切らないところが駄目、なんだらう。森下愛子演じる彩子が最高にキュート。勇一の親父の恋人を気取って毎日見舞いに行き、臨終に号泣する。常にエキセントリックな彼女だったが、実は家庭の問題があった。でも、行動は明るく奔放。どれがほんたうの愛なんだらうかと考えながら観ていた。大ラスの前のラストは、まったく予想だにしない展開で、ぶっ飛んだ。でも、俺だったら彩子にほれてまうなぁ。あ!つまりは俺も死んでしまうってことか。


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『さすらいの恋人 ―眩暈―』
公開:1978年
監督:小沼勝
主演:北見俊之、小川恵、高橋明飛鳥裕子、吉川遊土、織田俊彦、浜口竜哉、草薙良一、中川明、大矢甫、八代康二、雪丘恵介、小泉郁之助
人気のない公園の噴水に打たれながら一人佇む女・京子。彼女の様子にただならぬものを感じた男・徹。互いの体を温めあい共に暮らすようになる二人は、苦境に追いつめられあえぎながらも、必死に愛し合ってゆく。「あんたって、あたしがいなきゃダメなのよ」。中島みゆきの「わかれうた」に乗せて、理不尽な暴力の渦のなか貫かれるシンプルな愛が見るものを射る。
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透は本当にしょもない男である。そんな彼をただひたすらに愛する京子は、女神だ。彼の借金を返すために日々、白黒ショー(このネーミングは、みる人の目が白黒するからかな?)で視線を浴びることを受け入れ、彼が駄目なときには自らをさらし、男どもに犯されても「あなたがいなくてよかった」なんてゆう。まさにカラダをはってた。「途(みち)に倒れて だれかの名を 呼び続けたことが ありますか」〜♪ も設定にはまって刺さりますが、その他の音楽がよかた。


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日活ロマンポルノは特定の時間以上の濡れ場さえ入れれば、その他の自由度はかなり高かったそうである。あたしが観ている作品群に限っていえば、『屋根裏〜』以外は、プチブルにさえ手の届かない主人公たち、やさしくって駄目めな男、エキセントリックで情が深い女、すぐ濡れ場(当然ですが)、何かを背負ってる、ハッピーエンド確率低し、て感じでしょうか。でも、本当に深いのですよ。湿度が高くじっとりしていて、ドラマティックで、哀しくって、少し馬鹿。で、何でもない日常のシーンが非常にいいんだよね。『もっと〜』は遊園地、『めまい』は二人が最後の引っ越しをして、デートしたり海に行ったり生活する場面。涙が出そうになります。そしてこの日常的な幸福は、長くはつづかない。で、俺はやっぱり田中登がいちばん好きっす★ セックスとバイオレンスが描く真実。生と死。性と詩。