森山・新宿・荒木展@東京オペラシティアートギャラリー(初台)

森山大道荒木経惟、「新宿」がテーマの二人展

新宿の写真の群に 自分がいるような気がして 探し続けてしまう
動画を観ればそこは現代なのに
1枚1枚の写真を見れば 今も今でない そんな新宿の一面を想う


難しいことはよくわからないけれど 言葉を探してしまったりして
いっぽうは エッジが利いて体温が低く filmic
もういっぽうは 湿度が高くて人に分け入る high realistic sensation

けれど共通するのは その孤独と
対象に向けられる狂熱と自己投影 そんなふうに感じた


そしてこの二人の両方に惹かれながら
そのちょうど中間を求めてしまう


乾いていると痛すぎるから 湿度を求める
それでも いきすぎた倒錯による興醒めは一切排除されるような
クールな装いにダンディズムを感じながら
もっと生々しく接したいような
(それはいたって観念であり
 仮に叶ったとしても 漠としたものでしかないのかもしれないけれど)


そこに生きながら 表情は乏しく 死が匂い立ち
ただ撮るだけで削られ 眩いばかりのエネルギーを放ちながら
エロスとタナトスとは いつまでも交差しつづける


オモチャを手に入れてはしゃぐ 削る姿が繪となる
遠い日に憧れた ソフィ・カルを思い起こしてみたりする


そうか これを真似してみれば 何かがわかるかもしれない
今チラシを読んだら
エロスとタナトスは アラーキーに使われた言葉だった
両方に感じるけどな 「濃厚」といえば別だけれど


液体のような 擦り剥けた傷から血液が滲むような
ときにはつけぼくろのような
そんな音楽を見たいな


特に気に入ったのは
太った女性が眠る
女学生?が電車のドア際に立つ
風俗情が乗る箱の中から男が腕を伸ばす
片方の乳房を切った歌人が無表情で立ちつくす
出歯亀が身を隠す
座布団の上に花札を広げて笑みを浮かべる
などなど
嗚呼やはり 物語を好むのだろうか
濃密な生が溢れ出すようなものを


新宿でタイ料理
帰宅後に仕事の続き
出荷のついでにさまざまな一掃
明日からも
ヌメヌメといこう


ビジュアルの才をもつ人に憧れやすかった
何にでもなれるなら 漫画家になりたかった
奇天烈な外見を装った日もあった


故郷では 浮いたり沈んだりしていたのかもしれない
多くの東京人と同様に


画像は冨蔵より(無断掲載)
件名「見て見て!」本文「飛行機雲だよ。芸術作品。」