『-編年体- 大正文学全集』第一巻 大正元年|

moons11dec2004-11-09

2000年5月25日に第一版第一刷発行です。編者は中島国彦先生、と後で気づき、あたしの卒論の指導をしてくださった人の良い穏やかな方です。ちなみに卒論は、『大手拓次研究』、カレも大正時代の詩人で、ここにも「藍色の蟇」が所収。ボードレールの影響を強く受けており、朔太郎に盗作され(と言い切ると語弊があるけど、盗作と言っても過言ではないくらいパクられた作品があるのです)、薄倖の美青年?だったわけですが、生涯、女性との関係がなかったのではないかとも云われておりますですはい。まあ、それはともかくとして、この全集を返却して、第二巻とゆめきうの例の詩とあと何を借りに行こうかな〜と楽しみにしている夜。とりあえずこの全集の感想をかいつまんでうpしま。いちばんスバラシカッタのは、その噂の萩原朔太郎が書いた「萩原栄次宛書簡─明治四十五年六月三日付」で、明治なのですが、カレのその後の作品を読みとるのにも鍵になるかもしれません。栄次はカレの従兄です。そこで、「恐ろしい性慾の力」とか「少年の悲哀ともいふべき一種のローマンチックの憂愁」について語り、学校をさぼる自分を「あの頃の自分はまるで詩そのものであった」と認識する(解説より抜粋)。そして、『明星』が賛否両論を闘わせ、華々しくデビューした与謝野晶子を絶賛し、あの情熱こそが本物であると評しているわけでやんす。カレは「居ても立つても居られない烈しい官能の刺戟や苦痛」を感じ、自分が「狂熱な男」であることを自覚し、「今の私の思想は全てデカダンである」「近代人の有して居る素質は、強い自我の発展と欲望の飽くなき満足にあるのであるから」とかなんとか続いたり続かなかったりして、ようするにそれを読んで何と云うか勇気付けられた次第。狂熱万歳!あと読んだのは、たしか谷崎の『悪魔』、荷風の『妾宅』、拓次、晶子、解説くらいかなあ。あたしはこの時代の何と云っても文体を愛する。江戸から伝わる影響も色濃く見受けながら、西洋の影響もあり、この融合というか混沌が美しい。最も美しかった日本語の時代。特に、『妾宅』の流れる様は。。あと、表記、仮名遣いも。嗚呼、現代人のあたしも、音楽のような言葉を遣いたいものである。おっといけねぇ、そろそろひとっぷろ浴びて、出なきゃならねぇ、ぢゃ、ごめんなすって。。(大いなる勘違い)

編年体大正文学全集〈第1巻〉大正元年

編年体大正文学全集〈第1巻〉大正元年